NEWS POST お知らせ

オートマチック・スラック・アジャスタの点検整備の重要性について

トレーラ制動装置の点検整備項目として、国土交通省に届出ているオートマチック・スラック・アジャスタの点検整備についてお知らせします。
悪路・走行距離が多い・山道、登り降りの頻繁な走行・牽引自動車の駐車ブレーキの多用(シビアコンディション)は、部品の劣化を促進する場合がありますので点検整備により、安全を確保して下さい。
※2000年7月から装着が義務化

1. オートマチック・スラック・アジャスタの点検の重要性について

オートマチック・スラック・アジャスタの不具合が進行すると、当該車輪の制動力が低下するおそれがありますので、入念に点検を実施して頂きますようお願い致します。オートマチック・スラック・アジャスタの性能を維持するため、本体に損傷や変形がないか、目視などにより点検して下さい。 また、ブレーキ・チャンバのロッドのストロークの点検とオートマチック・スラック・アジャスタの機能点検を同時に行い、異常がある場合には部品交換など、適切な処置を行って下さい。

2. オートマチック・スラック・アジャスタの点検要領

2-1.点検項目・点検整備期間

○:メーカ指定項目 ◇:シビアコンディション ●:法定点検

点検項目
点検整備時期
点検箇所
点検内容
1ヶ月ごと
3ヶ月ごと
12 ヶ月ごと
ブレーキ・チャンバ ロッドのストローク
オートマチック・スラック・アジャスタ 機能 ※

※ オートマチック・スラック・アジャスタの機能点検には、「本体の損傷や亀裂の点検」、
「自動調整機能の点検」及び「アジャスト・スクリュー回転トルクの点検」が含まれます。

2-2.〔ブレーキ・チャンバ〕のプッシュ・ロッド・ストロークの点検

トラクタの空気圧力計が規定圧(590kPa 以上)であることを確認して、エンジンを停止して下さい。フート・ブレーキを数回踏み込み、トラクタの空気圧力計が500kPaとなったときにフート・ブレーキを踏み込み、プッシュ・ロッドのストロークを確認して下さい。なお、標準ストローク等は、トレーラメーカー各社発行の「取扱説明書」を参照下さい。

※ チャンバ・ストロークが正常範囲内にない場合は、自動調整機能の点検を実施して下さい。

(左)Haldex 社製のオ-トマチック・スラック・アジャスタの場合 

2-3.〔オ-トマチック・スラック・アジャスタ〕の機能の点検
(1)損傷や亀裂の点検

本体に損傷や変形がないか、目視などにより点検して下さい。

(2)Haldex 社製のオートマチック・スラック・アジャスタの場合
(2)-1 自動調整機能の点検

a.トラクタ・トレーラに車輪止めを掛け、全ブレーキを開放して下さい。
b.アジャスト・スクリューを12mmのメガネレンチまたはソケットレンチを使用し、右方向に一杯に廻します。(左右とも同一部品、以下左右とも同一に調整して下さい。)
c.左方向に3/4回転(270°)戻します。
d.エンジンを掛けて、トラクタのエア圧を規定値(590kPa 以上)にして下さい。
e.エンジンを掛けたまま、フート・ブレーキを20~30回作動させた後、ブレーキを掛ける毎にメガネレンチが右回りに徐々に回転すること、及びストロークが標準値及び限界値以下となることを確認して下さい。

(2)-2 アジャスト・スクリューの回転トルクの点検

アジャスト・スクリューをメガネレンチで左回りに廻すとき、ノッチ音がして約18N・m以上のトルクが必要です。上記(2)-1~(2)-2 項の確認を行って、1項でも不適があれば故障と判断されるため、オートマチック・スラック・アジャスタを交換して下さい。

(3)BPW社製のオートマチック・スラック・アジャスタの場合

(3)-1 自動調整機能の点検

a.トラクタ・トレーラに車輪止めを掛け全ブレーキを開放して下さい。
b.調整スクリューを反時計方向へ3/4 回転程度回してチャンバ・ストロークを50mm以上として下さい。
c.オートマチック・スラック・アジャスタを手で作動させて次の機能を確認して下さい。
①カチ、カチという調整音が聞こえる。
②調整スクリューが作動のたびに時計方向へわずかに回転する。

(3)-2 自動調整機能が確認できない場合の点検

a.調整スクリューを回すとオートマチック・スラック・アジャスタが前後に動く。
※次の場合は故障と判断されるためオートマチック・スラック・アジャスタを交換して下さい。
①調整スクリューを回してもオートマチック・スラック・アジャスタが前後に動かない。
②調整スクリューの回転トルクが17N・mを越すか、異常に軽い場合。

(4)機能点検後あるいは交換後の処置

オートマチック・スラック・アジャスタの機能点検後あるいは交換後のブレーキ調整等の整備要領は、トレーラメーカー各社発行の「整備要領書」または「取扱説明書」により実施して下さい。

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